QSN3: Brouwerの不動点定理とJordan閉曲線定理

Author

ykyki

Published

2025-12-21

Keywords

Brouwer Fixed Point Theorem, Jordan Curve Theorem, Invariance of Domain, Sperner’s Lemma

内容紹介

本誌の目的は, Brouwerの不動点定理とJordan閉曲線定理, そして領域不変定理という有名で基礎的なトポロジーの3つの定理を, 位相空間論の初歩を学んだ人向けに, わかりやすく証明することである. これらの定理は幾何学的な意味がわかりやすく, 応用も多いが, 位相空間論の入門的な教科書では証明が省略されていることも多い. 代数トポロジーの教科書では, ホモロジー論の議論を十分に展開した後にその応用として, これらの定理が証明されることもある. しかし大道具を用意しなくとも, エッセンスとなる部分を抽出すれば, 図形的にも理解しやすい証明を手短に与えることができる. この橋渡しをするのが本誌の目的である.

本誌には元ネタがある. 2019年に大学の数学サークル内で発表した (ykyki 2019) である. 本誌はその続編にあたる. 第1章はその内容を凝縮したものであり, そのため (ykyki 2019) を知らずとも本誌は読めるようになっている. 元ネタの資料では領域不変定理とJordan閉曲線定理の紹介はしたが, その証明はできずに終わっていた. 省略してしまっていたその証明を第2章と第3章で与える.

前提知識としては, 数学科の大学2年生程度の線形代数と集合位相を想定している. 本誌を読むための教科書としては (森田紀一 1981) が適している. (ykyki 2019) と比べると, 位相空間論の初歩的な議論に慣れていることが望ましい. QSN2 よりも少ない知識で読めるようにしている. 補足が必要だと考えた事項については付録Aにまとめた.

目次

  • 第1章 Brouwer の不動点定理
    • 1.1 Spernerの補題
    • 1.2 Spernerの補題の位相的な応用
    • 1.3 Brouwerの不動点定理の証明
  • 第2章 領域不変定理
    • 2.1 被覆と次元
    • 2.2 領域不変定理の証明
  • 第3章 Jordan 閉曲線定理
    • 3.1 曲線と折線
    • 3.2 単純曲線は平面を分けない
    • 3.3 Square Intermediate Value Theorem
    • 3.4 Jordan 閉曲線定理の証明
  • 第4章 発展的な話題
    • 4.1 Jordan-Schönflies の定理
    • 4.2 Phragmen-Brouwer Property
  • 付録A 基本事項
    • A.1 用語の定義
    • A.2 Lebesgue 数
    • A.3 レトラクション
  • 参考文献
  • 索引

本文PDF

後日公開予定.

サンプル

References

ykyki. 2019. “Brouwer の不動点定理とその周辺.” https://bucket.ykyki.net/p1/190510_Brouwer-s-fixed-point-theorem-and-related-topics.pdf.
森田紀一. 1981. 位相空間論. 岩波書店.